2019.12.30

粋な心が文化を支えてきた

この画像はかつて当店のもろみ蔵に使われていた木桶の部材です。
2005年の8月16日、宮城県を震度5強の地震が襲った翌日に崩れたもろみ蔵から、解体業者の方が木桶(容量30石。※1石は180リットル)を重機で壊し、処分される前に見つけて持ってきてくれたものです。
「中嶋末吉之作」(なかじますえきちのさく)「明治参拾九年」(めいじさんじゅうきゅうねん)「正月二拾八日作之」(しょうがつにじゅうはちにちさくの)と書かれています。 ※正月とは1月のことですね。

これ、桶のどこに書かれていたと思います?
木桶の縦に並ぶ※側板(ガワイタ)といわれる竹釘でつながっている場所。板と板が側面でくっついているところ。

※ 側板(ガワイタ) については下記を参照ください。
https://www.s-shoyu.com/kioke-knowledge

つまり、表からは全く見えないところ・・・。
そう、見えないように。
でも「俺が作ったんだよ」と痕跡を残す。
自らの技量を「スゴイだろう」と見せつけるのではなく、しっかりとした仕事を誇りに、「確かに作った男が存在したんだぞ」と後世に語り掛けるように・・・ひっそりと「名」を残す。

「粋」ですよね。

私はこれを見せられた時、感動して写真に残しました。そして、たまに話します。
こういう心が日本の文化を支えてきたんだと。大事にしたい明治男の心意気です。

木桶仕込み復活プロジェクト。クラウドファウンディングのスタートまであと4日。